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ある朝起きて、気が狂っていた。ということが理想だったのですが、このように、ほんの少しずつであれば、狂うことができるのかもしれません。
だんだん、必要に迫られてでさえ、他人と話すことが困難になってきました。人間の声に、とりわけその意味がはっきりと伝わるものについては、堪えるものが強くなってきました。
何の能力もない人間が、なりたい自分になれる唯一の方法は「退化」です。
少なくとも私の場合はそうです。私は誰とも直接関わりたくなかったし、これからはさらにそう思います。
生活に対する忘我の割合をさらに高めるために、時間が必要だということはもどかしいことではありますが、少しずつであれば浸かっていくことが可能であるようです。