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魂と呼ばれているものは、複雑さなのではないかというアイデアがあります。

複雑さは全てのものに宿り、同時に、物理的に存在するものではありません。ここが魂と呼ばれるものに期待される要素と重複します。

因果というものが認められないのであれば、これは物質の配置変遷と言い換えてもいいかもしれませんが、そういった何らかの「経緯」によって宿ることを回避できない複雑さが、心の機微に共振したとき、そこに魂めいたものを見出すことができる。ということではないかと思うのです。

この考えにはアミニズム的な感覚が前提となっています。全知全能の唯一存在が天地を作り出したのだとしても、その「作り出され」が既に複雑さを内包している以上、万物には魂がある。と言える一方で、それらが同時に「神」なのか、というと、これは区別して考えたいという感じがします。

万物の主である神様と、モノや生き物に宿る神性と、上記のような複雑さとしての魂は、相互に関わることはあっても、同一のものではないと考えるほうが、既存の宗教や哲学、文化などとも相性がいいような気がします。